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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二(うみがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 頁
」
女の話はまずこれで終った。
実際、僕も迷惑を感じないでもなかったが、さりとて冷やかに拒絶するにも忍びないような気がしたので、素直に承知して警察まで一緒に行くことになった。その途中で女は又こんなことを言った。
「ゆうべも、いつもの官女が枕もとへ来ました。」
水中の幽鬼の影が女のうしろに付き纏っているようにも思われて、気の弱い僕はまたぞっとした。
尾花川堤の人殺しは、狭い町の大評判になった。殊にその加害者が芸妓というのだから、その噂はいよいよ高くなった。その当夜、現場で被害者に出逢ったのは僕ひとりで、また一方には加害者を警察まで送って来た関係もあるので、僕は唯一の参考人として警察へも幾たびか呼び出された。予審判事の取調べも受けた。そんなわけで、九月の学期が始まる頃になっても、僕は上京を延引しなければならないことになった。
十月になって、僕はいよいよ上京したが、彼女の裁判はまだ決定しなかった。あとで聞くと、あくる年の四月になって、刑の執行猶予を申渡されて、無事に出獄したそうだ。裁判所の方でもいろいろの情状を酌量されたらしい。
しかし彼女は無事ではなかった。