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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二(うみがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 頁
そうは思いながらも、このあいだといい、きょうといい、途中で出逢ったかの娘の姿があまりお福によく似ているということが、西岡の胸に一種の暗い影を投げかけた。その以来、かれは妹に対してひそかに注意のまなこを向けていたが、お福の挙動に別に変ったらしいことも見いだされなかった。
二
西岡は一度ならず二度ならず、三度目の不思議に遭遇した。
それはあくる月の十三日である。きょうは盂蘭盆の入りであるというので、西岡は妹をつれて小梅の菩提寺へ参詣に行った。残暑の強い折柄であるから、なるべく朝涼のうちに行って来ようというので、ふたりは明け六つ(午前六時)頃から江戸川端の家を出て、型のごとくに墓参をすませて、住職にも逢って挨拶をして、帰り途はあずま橋を渡って浅草の広小路に差しかかると、盂蘭盆であるせいか、そこらはいつもより人通りが多い。その混雑のなかを摺りぬけて行くうちに、西岡は口のうちであっと叫んだ。妹に生き写しというべき若い娘の姿が、きょうも彼の眼先にあらわれたからである。
西岡はあわてて自分のうしろを見かえると、お福はたしかに自分のあとから付いて来た。五、六間さきには彼女と寸分違わない娘のうしろ姿がみえる。