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うみがめ

異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二(うみがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 頁

青空文庫

僕はその事件をこう解釈するね。まあ、聴きたまえ。その中間は江戸馴れない田舎者だというから、何となくその様子がおかしくって、挙動不審にも見えたのだろう。おまけにその抱えている品が西瓜ときているので、辻番の奴等はもしや首ではないかと思ったのだろう。いや、三人の辻番のうちで、その一人は一途に首だと思い込んでしまったに相違ない。そこで、彼の眼には、中間のかかえている風呂敷から生血がしたたっているように見えたのだ。西瓜をつつんで来たのだから、その風呂敷はぬれてでもいたのかも知れない。なにしろ怪しく見えたので、呼びとめて詮議をうけることになって、その風呂敷をあけると、生首がみえた。――その男には生首のように見えたのだ。あッ、首だというと、他の二人――これももしや首ではないかと内々疑っていたのであるから、一人が首だというのを聞かされると、一種の暗示を受けたような形で、これも首のように見えてしまった。それがいわゆる群衆妄覚だ。こうなると、もう仕方がない。三人の侍が首だ首だと騒ぎ立てると、田舎生れの正直者の中間は面食らって、異常の恐怖と狼狽とのために、これも妄覚の仲間入りをしてしまって、その西瓜が生首のように見えたのだ。