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うみがめ

異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二(うみがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 頁

青空文庫

ことに父も今年かぎりで弁護士を廃業するから、山岸にも受験を断念しろという。それには勿論、なにかの子細がなければならない。それから綜合して考えると、これは弁護士という職業に関連した一種の秘密であるらしい。山岸は詳しいことを明かさないが、今度の父の手紙にはその秘密を洩らしてあるのかも知れない。そこで彼もとうとう我を折って、にわかに帰郷することになったのかも知れない。

わたしの空想はだんだんに拡がって来ました。山岸の父は職業上、ある訴訟事件の弁護をひき受けた。刑事ではあるまい、おそらく民事であろう。それが原告であったか、被告であったか知らないが、ともかくも裁判の結果が、ある婦人に甚だしい不利益をあたえることになった。その婦人は、髪の白い人であった。彼女はそれがために自殺したか、悶死したか、いずれにしても山岸の父を呪いつつ死んだ。その恨みの魂がまぼろしの姿を試験場にあらわして、彼の子たる山岸を苦しめるのではあるまいか。

こう解釈すれば、怪談としてまずひと通りの筋道は立つわけですが、そんな小説めいた事件が実際にあり得るものかどうかは、大いなる疑問であると言わなければなりません。