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うみがめ

異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二(うみがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 頁

青空文庫

その啼声も絶えずきこえるのではない。昼のあいだはもちろん鎮まり返っていて、夜も九時過ぎてからでなければ聞えない。それは明神跡を中心として、西に聞えるかと思うと、また東に聞えることもある。南にあたって聞えるかと思うと、また北にも聞えるというわけで、探険隊もその方角を聞き定めるのに迷ってしまうというのだ。

そこで、その啼声だが――聞いた者の話では、人でなく、鳥でなく、虫でなく、どうも獣の声らしく、その調子は、あまり高くない。なんだか池の底でむせび泣くような悲しい声で、それを聞くと一種悽愴の感をおぼえるそうだ。小袋ヶ岡の一件というのは大体まずこういうわけで、それがここら一円の問題となっているのだ。

「どうです。あなたにも判りませんか。」と、井沢は僕に訊いた。

「わかりませんな。ただ不思議というばかりです。」

僕はこう簡単に答えて逃げてしまった。実際、僕はこういう問題に対して余り興味を持っていないので、それ以上、深く探索したりする気にもなれなかったのだ。

二

あくる日、なにかの話のついでに兄にもその一件を訊いてみると、兄は無頓着らしく笑っていた。

「おれはよく知らないが、何かそんなことをいって騒いでいるようだよ。