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くじょしょうろく
痀女抄録
矢田 津世子
線上閱讀矢田 津世子《痀女抄録(くじょしょうろく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,578 字 · 65 頁
来合わせた中尾に、つい興奮して憤慨を洩らすと、翌日のその新聞に謝罪文が出た。中尾がねじ込んだことだと後で解った。
龍子が中尾に金を委せるようになったのは、この二つの事であらまし中尾という人物の見透しがついたからであった。中尾のような男は、自分のことでは消極的だが、他人のことでは奇妙に積極的になれるものである。粘りづよく強引に、時には居直るほどの強気を持ち合わせているのも、この種の男である。龍子は、そこを見込んだ。
中尾に金を託して融通させるのであるが、おもては、中尾自身に貸し付けたことになっている。中尾の伯父に、京橋目抜き通りの地所持ちがいることを知っていたから、保証人は、この人にしてはどうかと勧めてみた。万一のことを龍子は慮ったからである。どう話し合いがついてか、中尾は直ぐに伯父の判をもらってきた。証文は二通、借用証書と手数料契約書が交わされた。
この歌うたいは、算盤のみちに明るかったから、利子のことがなかなか細かく手堅かった。日歩六銭は欠かさず手取りということにして、それ以上は中尾の腕次第、九銭で貸付けた時は一銭五厘、拾銭のときは二銭という風に中尾に歩分けした。