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くじょしょうろく
痀女抄録
矢田 津世子
線上閱讀矢田 津世子《痀女抄録(くじょしょうろく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,578 字 · 65 頁
「せんせいこの頃少し逆上せていたようだから、変になったんじゃないかな」
茶の間に戻ってきて、中尾は立ったまま餅菓子をつまみ食いしながら言った。
中尾に引き添うて喋りつづけていた龍子は、それで、ぎくっとした顔になったが、うろたえて、
「厭がらせを仰言らないでよ。ねえ、中尾さん、お願いよ、早くどうかして頂戴」
と、せがんだ。
中尾が探してみることになった。
その夜、遅くなって、中尾から電話がかかってきた。寿女の居所が分ったと言う。施療院で危篤状態だということであった。
翌朝、早く、中尾がやってきた。
「どうも、酷い目にあった。とうとうお通夜をさせられちゃってね。……そうそう、あんたの名前を二度も呼んだっけが。矢っ張り恩を感じていたんだね。可哀相に……。僕が駈けつけた時は、もう、訳の分らない譫言ばかり言ってたんだからね。肺炎だそうだ。だが、よく、あそこまで持ちこたえたもんだ。医者も感心してたがね」
「なんだって施療院なんかで……」
と、龍子は独り言にいった。
「警察から廻わしたんだが、なんでも、錦糸堀の車庫の辺で行き倒れになっていたそうだ。尾久へでも行くつもりだったろうが。