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やせがまんのせつ
瘠我慢の説
木村 芥舟
線上閱讀木村 芥舟《瘠我慢の説(やせがまんのせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,313 字 · 11 頁
その後暴人江戸市街に横行し、良家に闖入して金銭を掠るの噂ありし時も、先生頗る予が家を憂慮せられ、特に塾員に命じ、来て予が家に宿泊せしめ、昼夜警護せられたることあり。その厚意今なお寸時も忘るること能わず。
江戸開城の後、予は骸骨を乞い、しばらく先生と袂を分ち、跡を武州府中の辺に屏け居るに、先生は間断なく慰問せられたり。
明治四年八月、予再び家を東京に移すに及び、先生直ちに駕を抂られ、いわるるよう、鄙意、君が何事か不慮の災あらん時には、一臂の力を出し扶助せんと思い居りしが、かくてはその災害を待つに同くして本意に非ざれば、今より毎年寸志までの菲品を呈すべしとて、その後は盆と暮に衣物金幣、或は予が特に嗜好するところの数種を添えて※られたり。またその時予が妻に向て、今日福沢諭吉は大丸ほどの身代に成りたれば、いつにても予が宅に来て数日逗留し、意を慰め給うべしとなり。
明治十四年九月、予は従来筆記し置たる小冊を刊行し、これを菊窓偶筆と名づけ世に公にせんと欲し先生に示したれば、先生これを社員それ等の事に通暁せる者に命じ、印刷出板の手続きより一切費用の事まで引受られ、日ならずして予が望のごとく美なる冊子数百部を調製せしめて予に贈られたり。