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しらふじ

白藤

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《白藤(しらふじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,810 字 · 16 頁

青空文庫

そして遂に正気に戻らず亡くなった。

品川の伯父さんは、良人が留守な姪の子たちを丈夫にしてやろうと、大磯の妙大寺(ほんとはどんな字を書いたのかしら、わからないが)という寺の座敷を一夏借りて、皿小鉢のようなものまで準備された。

西村の祖母、母、子供三人の同勢はそこへ出かけて、子供らは、生れてはじめて海岸の巖の間で波と遊ぶ面白さを味った。

お寺の座敷の横は深い竹藪であった。裏に蓮池があった。蓮の実をぬいて喰べることをお寺の小僧から習った。雨が降ると、寺の低い方にある墓場で、火が燃える。夜になると雨戸のところから其が見えると、ぞくぞくすることを教えたのも、その小坊僧さんであった。

子供らにとって、新しい冒険と面白さの尽きない夏がはじまった。祖母と母も、新しい鰺を美味しがって、涼しい一夏を送れそうに見えた。ところが、妙なことが起って、匆々にここは引上げる始末となった。

竹藪の方から、泥棒がみんなの借りている座敷のあたりを狙いはじめた。子供らは、何にも知らず眠るのだが、起きると、大人たちが、昨夜も貝がらを踏む跫音がした、そこの板じきに足跡がついていると、物々しいことになった。