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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《白蟻(しろあり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,099 字 · 106 頁
そこまで、云いつづけているうちに、頭上にある栴檀の梢から、白い花弁が、その雪のように舞い落ち、滝人の身体はよほど埋まっていた。すると、それに気づいたのが、恐ろしい刺激ででもあったかのごとく、彼女はいきなり弾かれたように立ち上がった。
「だいたい、隠されたものというのは、それが表に現われる日が来るまで、どうあっても、隠されていなければならないといいます。けれども、もうそんな日が来るのを、こっちから便々と待ってはいられなくなりました。そうして終に、私も決心の臍を固めて、どのみちどっちに傾いたところで、陰惨この上ない闇黒世界であるに相違ないのですから、私の一身を処置するためには、どうしてもあの二つの変貌と、高代という名の本体を、突き究めねばならぬと思いました。それから、辛い夜の数を一つ一つ加えながら、いつ尽きるか涯しないことを知りながらも、あの永い苦悩と懐疑の旅に上っていったのでした」
雷鳴のたびごとに、対岸の峰に注ぐ、夕立の音が高まり、強い突風が樹林のここかしこに起って、大樹を傾け梢を薙ぎ倒しているが、そのややしばし後になると、小法師岳の木々が、異様に反響して余波に応えていた。