輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《白髪鬼(はくはつき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 頁

青空文庫

君、これでも、女は一本のあばら骨かね」

彼はわしの手を握りしめて、大はしゃぎにはしゃぐのだ。

「イヤ、僕は少し説を変えたよ」

わしは恥かしそうに答えたものだ。

「君がよく云っていた様に、美しい女と云うものは、どんな芸術も及ばぬ造化の偉大な創作だよ」

そう云ってから、わしはふと川村にすまぬ様な気持になった。男ながら、彼こそわしの唯一の伴侶ではなかったか。それが、瑠璃子というものが出来て見ると、何だか今迄の様な、隔意ない親しみが少しうすらいだ様な気がする。川村の前で妻をほめたりして、悪いことをしたと思った。アア、可哀相に、川村はまだ、美人を妻とする楽しさを知らぬのだ。この男にもどうか美しい娘を探し当ててやり度いものだ。

わしはちょっと憂欝になって、何気なく振向くと、そこへ、大輪の薔薇の花が咲き出した様に、瑠璃子が入って来た。それを見ると、わしの憂欝はどこへやら、けし飛んでしまった。

この美しい顔さえ絶えずわしの目の前にあるならば、友達も要らぬ。金も要らぬ。命も要らぬ。恋に酔うとは、これを云うのかしら、わしは人世嬉しさの絶頂に達し、痴人の如く、瑠璃子の顔を飽かず眺め入った。