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ひゃくまんにんのぶんがく
百万人の文学
線上閱讀坂口 安吾《百万人の文学(ひゃくまんにんのぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 1,450 字 · 3 頁
万人の見るところ歴史的評価が定まったと見えるのは、啄木、漱石などで、「たけくらべ」なども、そうかも知れないが、すでに現代語でないから、読者の魂とふれあう数が次第に減少するかも知れない。また、金色夜叉などのように、流行歌に、芝居に、お宮と貫一の物語として国民的な伝記として伝承しても、小説としては生命が終っているものもある。
歴史の中に生き残ると、アドルフのような片すみの文学も、百何年かに千万人に読まれるのだから、百万という数は、傑作の読者数の単位としては少なすぎるようだ。
しかし百万人の小説という意味を歴史的な傑作という意味に解すれば、百万人の小説とは、批評家やジャーナリズムから独立して、直接に大衆の血の中によび迎えられて行くものの意味でもあろう。
皮肉なもので、批評家やジャーナリストの高級な価値判定と、読者の血肉としての受けとり方は違うことが多い。批評家やジャーナリズムは龍之介や潤一郎が高しょうに愛読され文学的に正しく読まれていると認定しているかも知れないが「大菩薩峠」や「出家とその弟子」や「宮本武蔵」が宗教的なふん囲気をもって熟読されている事実は是非もなく、これを硬派の読まれ方とすれば、前者は軟派的、女性的であり、一方が合掌的に、一方がため息的に、要するに読者の血肉の中へ読みとられている度合は同じこと