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ひゃくしょうやのすけのはなし
百姓弥之助の話
中里 介山
線上閱讀中里 介山《百姓弥之助の話(ひゃくしょうやのすけのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,621 字 · 99 頁
、その棺を担ぐのはその庭場庭場の年番の廻持ちでたしか六人位ずつの人足を出していた、穴掘りもそれ等のものがやり、棺を担ぐのもやはりそれ等のものがやったと覚えている。
愈々坊さんの読経も済んで、その家から棺が繰り出す、前後にはそれ相当の紋付、羽織、袴、女は幾代も幾代も相伝の白無垢を借着をしたりなんぞして、それぞれ位牌を持ち線香立を持ち、白木のお膳などを持って棺の前後に附き添うと、その周囲には親類だの庭場中の会葬者だのがぞろぞろとついて行くのであった。それからまだ棺の前後には小さな天蓋だの、竜の頭だの仏の名を書いた旗だのというものもつき添っていた。愈々この葬列が繰り出すと、同時に棺舁きの六人ばかりの口から念仏の声が前後相呼応して高らかに称え出される。
なあーんまいだんぶつ
なあーんまいだんぶつ
この称名に送られて寺から墓地へと進むのであった、このなあーんまいだんぶつの音律にはおのずから一定した節があって決して出鱈目ではなかった。どうも一寸は真似が出来ないが、あれを遠くで聞いていると、弥之助の幼な心は何となく無常の感じにおそわれて、死出の山路をそろりそろりと人魂が歩んで行くような気持がさせられた。