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めらはかせのふしぎなはんざい
目羅博士の不思議な犯罪
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《目羅博士の不思議な犯罪(めらはかせのふしぎなはんざい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,493 字 · 31 頁
今度の縊死者は、香料ブローカーと違って、極く快活な人物で、その陰気な部屋を選んだのも、ただ室料が低廉だからという単純な理由からでした。
恐怖の谷に開いた、呪いの窓。その部屋へ入ると、何の理由もなく、ひとりでに死に度くなって来るのだ。という怪談めいた噂が、ヒソヒソと囁かれました。
三度目の犠牲者は、普通の部屋借り人ではありませんでした。そのビルディングの事務員に、一人の豪傑がいて、俺が一つためして見ると云い出したのです。化物屋敷を探険でもする様な、意気込みだったのです」
青年が、そこまで話し続けた時、私は少々彼の物語に退屈を感じて、口をはさんだ。
「で、その豪傑も同じ様に首を縊ったのですか」
青年は一寸驚いた様に、私の顔を見たが、
「そうです」
と不快らしく答えた。
「一人が首を縊ると、同じ場所で、何人も何人も首を縊る。つまりそれが、模倣の本能の恐ろしさだということになるのですか」
「アア、それで、あなたは退屈なすったのですね。違います。違います。そんなつまらないお話ではないのです」
青年はホッとした様子で、私の思い違いを訂正した。
「魔の踏切りで、いつも人死があるという様な、あの種類の、ありふれたお話ではないのです」