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いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

線上閱讀本庄 陸男《石狩川(いしかりがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 頁

青空文庫

「失礼でござりますが、お初にお目にかかったとも思われませぬが――」

そこの引戸に手をかけていた役人は、そんなことはどうでも宜いのだ、というように、横眼で押えてがらりと開けた。

「ここです、どうぞ――」

先にはいれ――と譲っていた。脇差をあずけようとする阿賀妻に、彼は首をふって云った。

「かまいませんとも、ずーっとお通り下さい」

「いかに何でも、草鞋ばきでは」と阿賀妻は足許を見おろした。

「履き替えの準備なぞ、まだ、まだ」

はいって来た彼らに向って、部屋のものは一斉に目礼した。座席の配置はおのずから位置を示すものであった。堀と名乗る白面の官吏は、つかつかと進んで中央の卓に腰をおろした。顎で使丁を呼んで命じた。

「お茶を持て――判官どのがお帰りになったら知らせろ、さア、どうぞ――」

改ったあとの言葉で阿賀妻を招じた。傍らには接客用の卓が置かれてあった。その上に笠を置き、脇差を重ね、阿賀妻は衣紋をただした。

「わかっています」と、相手は力をこめて腕をふりおろした。挨拶はよろしい、はやく掛けろと云うのであった。

「それでは」と阿賀妻はまっ直ぐに腰をおろした。

「先日判官から聞いていましたので、一応は調べてみました、貴方のお見込みはいかがでした?」