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ケーベルせんせいのこくべつ
硝子戸の中
線上閱讀夏目 漱石《硝子戸の中(ケーベルせんせいのこくべつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,825 字 · 28 頁
そうして自分の方を見ながら、どうも咽喉がかわいてと間接な弁解をした。
「だいぶ飲んだんだね」
「ええお祭りで、少し飲まされました」
赤い顔のことは簡単にこれで済んでしまった。それからどこをどう話が通ったか覚えていないが、三十分ばかりたつうちに、自分も重吉もいつのまにか、いわゆる「あのこと」の圏内で受け答えをするようになった。
「いったいどうする気なんだい」
「どうする気だって、――むろんもらいたいんですがね」
「真剣のところを白状しなくっちゃいけないよ。いいかげんなことを言って引っ張るくらいなら、いっそきっぱり今のうちに断わるほうが得策だから」
「いまさら断わるなんて、僕はごめんだなあ。実際叔父さん、僕はあの人が好きなんだから」
重吉の様子にどこといって嘘らしいところは見えなかった。
「じゃ、もっと早くどしどしかたづけるが好いじゃないか、いつまでたってもぐずぐずで、はたから見ると、いかにも煮え切らないよ」
重吉は小さな声でそうかなと言って、しばらく休んでいたが、やがて元の調子に戻って、こう聞いた。
「だってもらってこんないなかへ連れてくるんですか」
自分はいなかでもなんでもかまわないはずだと答えた。