輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ケーベルせんせいのこくべつ

硝子戸の中

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《硝子戸の中(ケーベルせんせいのこくべつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,825 字 · 28 頁

青空文庫

すべてを総合して、書き手のくろうとであることが、誰の目にもなにより先にまず映る手紙であった。どうせ無関係な第三者がひとの艶書のぬすみ読みをするときにこっけいの興味が加わらないはずはないわけであるが、書き手が節操上の徳義を負担しないで済むくろうとのような場合には、この興味が他の厳粛な社会的観念に妨げられるおそれがないだけに、読み手ははなはだ気楽なものである。

そういう訳で、自分は多大の興味をもってこの長い手紙をくすくす笑いながら読んだ。そうして読みながら、こんなに女から思われている色男は、いったい何者だろうかとの好奇心を、最後の一行が尽きて、名あての名が自分の目の前に現われるまで引きずっていった。ところがこの好奇心が遺憾なく満足されべき画竜点睛の名前までいよいよ読み進んだ時、自分は突然驚いた。名あてには重吉の姓と名がはっきり書いてあった。

自分は少しのあいだぼんやり庭の方を見ていた。それから手に持った手紙をさらさらと巻いて浴衣のふところへ入れた。そうして鏡の前で髪を分けた。時計を見ると、まだ七時である。しかし自分は十時何分かの汽車で立つはずになっていた。