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ごのてなおりひょう

碁の手直り表

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《碁の手直り表(ごのてなおりひょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,370 字 · 7 頁

青空文庫

直木は、こゝで客も引見すれば、この卓子の上で原稿もかいた。机の上に、封を切った手紙や請求書などが、のっかっていた。

去年の秋頃、倶楽部へは社の連中が、あまり行かなくなった。直木は、だまっているくせに、客好きなので、客が多い方が好きなので、執筆の邪魔になっても、お客が来た方がよかったらしい。

倶楽部へ行く人が、少くなったが、自分は毎晩のように行った。自分は、午前から午後三時頃まで、家にいて原稿をかいているのだが、去年の秋から新聞を二つ書かねばならなかった。新聞を一つ書くにも二時間はかゝる、二つ書くと四時間以上はかゝる。家にいて、新聞を二つ書くと、雑誌の仕事は何にも出来ない。だから、これまでの規定以上、夜倶楽部へ行って、新聞を一つ書くことにした。

だから、殆ど毎晩のように、倶楽部へ行った。

原稿をかく前後には、直木と卓子と卓子を挟んで坐っていたが、何も話をしなかった。

何か訊けば、返事をする位である。文芸談や世間話などは一切したことがない。

手持ぶさただから、結局碁でも打つ外はなかった。

自分は、二十二三歳の頃今の宮坂六段と一度打ったことがある。宮坂氏は、自分の棋力を初段に十一目だと鑑定してくれた。