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しゃかいとにんげんのせいちょう
社会と人間の成長
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《社会と人間の成長(しゃかいとにんげんのせいちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 10,495 字 · 21 頁
日本のいまのような社会事情では、金にしても十分の一、百分の一、千分の一と価値が減って来るでしょう。そういうときに、幸福は金銭の量によると金ばかり溜めて行く人は、果してそれで目的が達せられましょうか。どんどん価値が減って行くのを目の前に見ている。私ども働いて得た金によって生活しているものはちがいますが、金を積んで見ている人にとっては、ずるずる金の価値が下って行くことは決して幸福じゃないのです。その人はどういう風になるかといえば、どしどし金の値打が下るから、ますます人には頼れない、ますますたよりになるのは自分だけと、一層エゴイスティックな気持の中にちぢこまる、と同時に、金の方はいつかマイナスになってしまって、のこるのは不具にこりかたまった守銭奴的人間性だけということになります。
生存本能、その慾望は変化してあらわれます。音楽でいえば、人間が幸福に生きたいという本能は一つの主題です。この主題は現実の社会のいろいろな条件と絡み合って変化してあらわれております。幸福の内容も、現代では非常に豊富ですから幸福になってゆく道も単純でありません。人間はまず腹一杯食べたいというなら、それはどう食べるかということを考えるところまで、現代の歴史は進んで来ています。