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かみのごとくよわし
神の如く弱し
菊池 寛
線上閱讀菊池 寛《神の如く弱し(かみのごとくよわし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,929 字 · 28 頁
「蒐めようと云う計画もあるのだが……」と、答えた。
吉岡は、一寸云い出しにくそうにして居たが、
「話が可なり突然になるのだが、実はS家でね、若し河野君が金に困って居るのなら、療養費は幾らでも出そうと云うのだがね。実はそれで、先刻河野君の家へ行ってそれとなく様子を視たのだが、人事不省同様で誰にも会わせられないと云うから帰って来たのだ。それで、君が一番適任者だと思ったから、相談に来たのだが、一体何うしたものだろう。」と、吉岡は持前の明快な口調で、早口に云った。
雄吉は吉岡の云うことを、何気なく聴いて居る中に、それが思いがけなくも、可なり重大な問題であるのに、気が付いて、緊張せずには居られなかった。
雄吉は、河野の代理として、こうした恵与を、受くるべきか、斥くべきかの判断をする、重大な責任を感じた。
表面だけから云えば、S家は河野の愛に背き去った恋人の家ではあるにしろ、二年前に死んだ主人と河野とは、先ず師弟と云ってもよい間柄であったのだから、S家で河野の急場を救うと云うことは、そう大して筋違いのようではなかった。が、然し――問題はそう簡単ではなかった。
河野とS家とは、お互に義絶の通知をこそしないけれど、今では可なり烈しい確執を懐き合って居る間柄だった。