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かみサマをうんだひとびと
神サマを生んだ人々
線上閱讀坂口 安吾《神サマを生んだ人々(かみサマをうんだひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,108 字 · 27 頁
胃に当てた彼女の手が、重い石のように、まっすぐ、力強く、くいこんでくる。すこしもふるえていない。そして大巻博士が何よりも意外だったことは、彼女の密接した身体から、彼女の呼吸も、脈搏も、女の体臭すらも感じられなかったことである。
彼女が手を放す。すべてが、にわかに軽く、明るくなった。そして大巻先生はふと気がついた。
「そうだ。オレは熱のことを忘れていたぞ。イヤ。全てのことを忘れていたような気がするな。しかし、なんて軽くなったのだろう」
にわかに現実へ連れ戻されたような気がしたのである。彼は思わず感嘆の叫び声をあげた。
「ヤ。なんて、すばらしいのだろう。まるでにわかに身体が半分の余も軽くなったような気がするぞ」
「そうだろう。君のその顔を見れば分るよ」
と川野がうれしそうに和した。
教祖は武芸者が試合を終えたあとのように、立膝をして、タタミに片手をついて身を支え、目を軽く閉じて、まるで失心しているような様子であった。全霊をあげたあとという感じであった。そこにも性慾を絶したものを大巻博士は見たのである。
「これが宗教だろうか。これが宗教の魅力だろうか」
彼はそう考えて突き当ってしまったのである。