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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《神秘昆虫館(しんぴこんちゅうかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,803 字 · 213 頁

青空文庫

「それではいつ頃?」

「いずれその中……」

「気の毒だなあ」

「何が何んだと!」

「プッ」と集五郎はどうしたものか、にわかに吹き出したものである。

「昆虫館主のご令嬢、美しい声の桔梗様が、山を下ってついこの頃、江戸へはいったを知らないと見える」

「えッ」と仰天した小一郎は、「それは本当か!」ヌッと出た。

「迂濶な武士め!」

「何を! ……嘘だ!」

「よかろう」と集五郎はヘラヘラ笑い、「嘘だ嘘だと思うがいい。その中我らひっ攫う」

「云え!」と小一郎の凄じい声! 「云え云え云え、どこにいる!」

「ある所によ、かくまわれてな」

「どうして知った?」

「透視だあ――」

「参るゾーッ」

と小一郎は、例の大音に怒りを加え、吠えるがように響かせたが、腰を捻ると抜き打ちだ。鞘走らせたは一竿子忠綱、月光を突ん裂き横一揮、南部集五郎の左胴、腰の支えをダ――ッと切った。

だが抜き合わせた集五郎、チャリーンと鍔元で払ったが、ジタジタと退くと、脅えた声で「方々出合え、方々出合え!」

声に応じて家蔭から、ムラムラと現われたは二十人ほどの武士。

二十四

引っ包まれた小一郎は、既に覚悟は決めていた。