輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

きんだんのししん

禁断の死針

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《禁断の死針(きんだんのししん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,500 字 · 7 頁

青空文庫

そうかと申して、親の讐は倶に天を戴かずと申します、これを見のがして、私の孝道が立ちましょうか。

幸い思い付いた鍼、卑怯には似て居りますが、按摩渡世の者に取りましては、武士の刃も同じこと、原口作左衛門の急所に一本打ち込んで、確かに殺したに相違御座いません、これを過ちや間違いにされましては、私の名は兎も角、師匠漆検校様のお名前に拘わります、仔細あって、禁断の項に打った鍼には、寸毫の間違いも御座いません、御奉行様」

佐の市は見えぬ眼をしばたたき乍ら、白洲の砂利を掴んで斯う申します。

「これこれ佐の市、何を申す、師匠漆検校の言葉を嘘にしてすむと思うか、其方の打ったのは、禁断の針では無い、あれは肩の凝を散らす鍼じゃ」

「御奉行様」

「黙って聞け佐の市、鍼は禁断の死針ではないが、盲の其方が、妹と心を合せて、親の讐を討ったのは殊勝な心掛け、褒めつかわすぞ」

「ハッ」

佐の市は思わず、白洲の砂利に額を埋めて嬉し涙に咽び入りました。昔の裁判はズボラなようで誠に味のあったもの、時は嘉永二年秋、桜の文身をして居たという名奉行、遠山左衛門尉景元の逸話、按摩の仇討という話はこれです。