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わたしのけいかしたがくせいじだい

私の経過した学生時代

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《私の経過した学生時代(わたしのけいかしたがくせいじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,107 字 · 10 頁

青空文庫

矢張り、此の頃も学科に就て格別得意というものはなかった。中にも数学、英語と来ては最も苦しめられた方であるが、と云って勉強もせずに毎日々々自由な方針で遊び暮していた。従って学校の成績は次第に悪くなるばかりで、予科入学当時は、今の芳賀矢一氏などと同じ位のところで、可成一所にいた者であるが、私の方は不勉強の為め、下へ下へと下ってゆく許り。その外、当時の同級生には今の美術学校長正木直彦、専門学務局長の福原鐐二郎、外国語学校の水野繁太郎氏などがあって、それ等の人はなかなか出来る方であったが、私達遊び仲間の連中は総て不成績で、漸次、是等の諸氏と席の方が遠ざかるばかりであった。

五

不勉強位であったから、どちらかと云えば運動は比較的好きの方であったが、その運動も身体が虚弱であった為め、規則正しい運動を努めてやったというのではない。唯遊んだという方に過ぎないが、端艇競漕などは先ず好んで行った方であろう。前の中村是公氏などは、中々運動は上手の方で、何時もボートではチャンピオンになっていた位であるが、私は好きでやったと云っても、チャンピオンなどには如何してもなれなかった。