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わたしのどくしょへんれき

私の読書遍歴

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《私の読書遍歴(わたしのどくしょへんれき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 1,808 字 · 4 頁

青空文庫

本らしい本を初めて読み出したのは、高等学校へはいってからである。ピアノなどというものは、名前は知っていたが、中学時代には、遂に実物を見たことも、聴いたこともなかった。高等学校へはいったら、その本物があったので、急に文化生活に近づいたような気がした。

本もそのとおりで、急に講談でない本が、周囲にたくさん出て来て、どれも非常に珍しかった。たまたま四宮兼元先生が、哲学雑誌の編集者の地位を辞して、四高の先生になって来られ、その講義が非常に人気があった。そのせいもあって、急に学生間に哲学書が流行り出した。

私は理科だったので哲学書といつてもダーウィンやヘッケルのものを主として読み出した。岩見重太郎から一躍「宇宙の謎」にとんだので、少し勝手がちがったが、面白いことは非常に面白かった。それで一生生物学をやろうという決心をした。三年になると、大学の工科や理科の物理化学方面へ行く男は力学と製図をやり、医科と動植物希望者とは、そのかわりに顕微鏡実習と解剖をやることになっていた。私はちゅうちょなく後者を選んだ。

ところが三年生になってから岩波の哲学叢書に凝りだした。