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わたしはだれ?

私は誰?

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《私は誰?(わたしはだれ?)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,584 字 · 14 頁

青空文庫

然し、すくなくとも、芸術家自体にとっては、芸術の長さと人生の長さが同じことは当りまえではないか。人生だけだ。芸術は、生きることのシノニムだ。私が死ねば、私は終る。私の芸術が残ったって、そんなことは、私は知らぬ。第一、気持が悪いよ。私が死んでも、私の名前が残ったり、伝記を書かれて、こき下されたり、ほめられたり、でも、マア、私のために、もし何人かゞ、原稿料の種になって女房を養ったり、酒をのんだりするのだとすると、あゝ、その何割かを生きている私がせしめてやれぬのが残念。私は私の芸術が残るだの、死後に読まれるだのと、そんな期待は持っていない。

私は突き放している。どうにでもなれ、と。私は行う。私は言い訳はしない。行うところが、私なのだ。私は私を知らないから、私は行う。そして、あゝ、そうか、そういう私であったか、と。

私は書く、あゝ、そういう私であったか、と。然し、私は私を発見するために書いているのではない。私は編輯者が喜ぶような面白い小説を書いてやろう、と思うときもある。何でも、いゝや、たゞ、書いてやれ、当ってくだけろ、というときもある。そのとき、そのとき、でたらめ、色々のことを考える。