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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 頁

青空文庫

奇ッ怪な二た股者」

と、呼号して、とつぜん、近江へ向って出陣した。兵はそう多くもなかった。しかし、兵を石山寺にとどめて、伊吹の道誉と、即日、何やらしきりと使者を交わしており、どうも事態はただの譴責や合戦に入るもようではないとある。

それいぜんに、また。

義詮のそばにいた土岐頼康、細川頼春、仁木義長、義氏、赤松貞範なども、帰国ととなえて、次々と都のそとへ去っていた。――つづいて当の足利義詮も、陣装して、何の故か、

「播磨へ行く」

と号し、播磨へは行かず、洛外の東寺に陣取った。

いってみれば、尊氏義詮の父子が東西にわかれて、都の出口をふさいだ形でないこともない。――七月二十七日から三十日朝までの急変だった。――直義にぞくする諸将の党が、俄然、大動揺をみせたのはむりもない。

彼らはぞくぞく錦小路殿へ駈け集まった。斯波、桃井、上杉、山名、畠山、諏訪、宇都宮など名だたる武将どもである。度を失ッてはいなかった。むしろ望むところと今日の驚愕を受けとった風でもある。そして即刻にと、直義へ北国落ちの勇をすすめた。深夜の丑満(午前二時)、直義はついに大原路から京都の外へ落ちて行った。