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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 頁
そして、それから十日ほど後には、
「ぜひもない。京都回復の企図はしばらく措こう。要はまず、東国奥州の固めに主力をそそぐことだ。しかる後に、尊氏の根拠をその足もとから覆そう」
と、さいごの叡慮も決まったようであった。
さきに、顕家と別れて、この吉野へ来ておられた義良親王は、そのため三たび、陸奥の任へ就いて赴くことになった。
輔佐には、顕家の弟、顕信を陸奥の鎮守府将軍にのぼせ、また、結城宗広をも付き添わせて、ここに、東下の軍勢が、再編成されたのだった。
いや以上のほかに、宗良親王も加わり、北畠親房も行に加わった。吉野にはなくてはならない重臣の親房である。その親房までが行を共にしたのをみても、いかにこんどの挽回策に、後醍醐が、積極的であったかがわかる。――ゆらい、難に当れば当るほど、かえって、難に強くなる御気性の底が、ここにもあらわれたものだった。
しかし、豪邁なる天皇をお父ぎみに持った御不幸といってもよかろう。いじらしいお別れにみえたのは義良親王であった。凡下の子なら遊びざかりの十二でしかない。――せっかく、顕家と別れてこの吉野に来ておられたものを、またまた、元のみちのくへ下ることになったのである。