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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 頁
「今日から七日の間、幕府の雑訴(政務)を停止しよう。すべて、つつしんで喪に服し、深く哀悼の意を表せ」
幕府は、その日のうちに、喪を布告した。
先帝 吉野ニ於テ
崩御ノオ聞エアルニ依テ
と、七日間の政務の停止を告げ、宴遊鳴物は申すにおよばず、公私とも、一切を謹んで哀悼すべし、ともつけ加えた。
すると、これに大いな狼狽をしたのは、光明天皇の北朝の朝廷だった。
幕府へ気がねしていたのであろうか。――後醍醐の死にたいしては何ら哀悼の表示を考えていなかった。で、大いにあわてたらしく、幕府に倣って、朝廷もあとから急に、
廃朝ノ令
を出した。
まことに醜態だった、と「中院記」や「玉英記抄」も書いている。北朝の廷臣に人材のなかったことが、この一例でもおおいようなく世間に見すかされたことだったろう。
これに反して、尊氏の哀傷はむしろ、ちと度が過ぎているほどだった。
彼は、後醍醐のために、七々(四十九日)の忌に服し、さらにその百ヵ日には、等持院へのぞんで、盛大な仏事をいとなんだ。そして、満堂の参列者のなかで「――先帝を想う」の追悼文をみずから読んだ。
文は漢文で、それも自身で書いたものである。