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あきぞらはれて

秋空晴れて

吉田 甲子太郎

線上閱讀吉田 甲子太郎《秋空晴れて(あきぞらはれて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,291 字 · 19 頁

青空文庫

なるほど、一男は十七という年齢にあわせては、小柄なばかりでなく痩せている方だった。しかし、潮風にやけたその面魂には、どこかしっかりしたところがあった。少し茶色がかった静かな瞳、きちんと結んだ唇、どっちかというと柔和な顔立だったが、眉のあたりに負けぬ気が見えて、顔全体を引き締めていた。それに何よりも監督を驚かしたのは、こんな場所に立っていながら、その少年の腰つきが少しもふらついていないことだった。眼にも怖がっているらしいおどおどした色はまるで現れていない。

今三人の男が立話をしている場所は、地上から二十五メートルも離れた空間だ。足場がわりに鉄骨の梁の上に懸け渡しただけの何枚かの板の上に立っているのだった。下を覗けば、地下室をつくるために掘りさげられた地底まで三十メートルはあるだろう。よほど馴れたものでも、何かにつかまらなければ眼がくらくらして覗いてはいられない高さだ。

監督はあらためて一男少年の顔を見なおした。平然としている。わざと平気な顔をしているのではない。

「ひょっとすると親爺のいうのは嘘ではないかも知れない」

監督はそう思った。それに彼は全体に一男の様子が気に入ったのだ。