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かがくのじょうしきのため

科学の常識のため

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《科学の常識のため(かがくのじょうしきのため)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,479 字 · 19 頁

青空文庫

という章を割愛されたというのは、残念千万なことだったと思う。物理のことが語られていたのなら、あるいは数学の発達の歴史の物語も、同じように割愛された頁の中に入っていたのではなかっただろうか。数学の方は、ホグベンの「百万人の数学」上下(日本評論社各二・三〇)が出版されたし、岩波新書に「家計の数学」(小倉金之助氏)同じ著者の「日本の数学」、また吉田洋一氏の親しみぶかく数学の原理を語っている「零の発見」(岩波新書)などがあるけれど、物理の物語は岩波文庫にファラディーの「蝋燭の科学」のほかフランスの数学者物理学者天文学者であったアンリ・ポアンカレの著述が三冊訳されているばかりで、ポアンカレの述作は、初歩的な読者にとってそう理解しやすいというものではない。

私たちの物理学の世界に対する知識は現象にとりまかれつつ相当乱雑なままに放られていて、たとえば岩波新書の「物理学はいかに創られたか」(石原純訳、アインシュタイン著)を、表現が砕けていると同じかみくだく理解の力で読みこなせるものが、私たちの周囲に何人あるだろう。冨山房百科全書の「子供の科学」の物理についての啓蒙的な記述があるいはコフマンの「科学の学校」