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かがくろん

科学論

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《科学論(かがくろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 頁

青空文庫

自然哲学に歴史的過程という弁証法の根本性質を見出したものは、併し実はカントの天体進化の理論であった。そして一方、有機界の歴史的進化の過程という観念に到着したのは、ビュフォン等であった。――だがいずれも之を「自然弁証法」という観念にまで高め得る程の、自然科学上の現実的与件を、当時まだ持っていなかったのである。自然の歴史的発展の思想の下に、自然弁証法の観念が、発生し得るためには、自然科学の目醒ましい発達が行なわれ始めた十九世紀後半まで待たねばならなかった(エンゲルスの自然弁証法に関する最初の覚え書き「弁証法と自然科学」は一八七三年に始まる)。

私は今ここに、自然弁証法を体系的に叙述し得ようなどとは思わない。まだ充分に体系づけられていないものを、今ここに俄に体系づけることは可なりの冒険だろうからだ(この点史的唯物論と場合を異にする)。ただ特徴的な二三の点だけを拾いあげて、一応纏った見通しをつけて見ようとするに他ならぬ。そしてその出発点となるものが、かの自然自身の歴史的過程なのである。――だが自然とは一体何か。

自然については古来、自然哲学者乃至哲学者の、様々な考察があるのだが、含蓄ある意味に於て、之を物質と呼ぶことが出来る。