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いのうはりまのかみ

稲生播磨守

林 不忘

線上閱讀林 不忘《稲生播磨守(いのうはりまのかみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,172 字 · 29 頁

青空文庫

奎堂 (冷然と)凶相じゃ、凶相じゃ。そこもとが何といおうと、凶相じゃ。必ず思いあたることがあろうぞ。

矢沢 (あわてて)久保氏! あなたもまた、何もそんな不吉なことをそう言い張らんでも――。

奎堂 私が言うのではない。刀が語っているのです。相に出ておるのです。それを偽ることはできませぬ。

郁之進 ええ! まださようなことを! (掴みかかろうとする)

播磨 ははははは、よいよい、郁之進。騒ぐでない。相対で話をしよう。これ、皆の者、遠慮せい。

矢沢 しかし、殿。ただいまの奎堂先生のお説もござりますれば、ただお一人にて郁之進めと御対坐遊ばす儀だけは、せつにお思い止まり下さりますよう。

播磨 何を下らぬことを! 郁之進ごときが十人掛かっても、後退ぐ余か。

矢沢 しかし、郁之進の刀は魔物と申すことですから、充分に御注意を。

播磨 みな退れ。加世、そちだけはここにおれ。

家老矢沢、久保奎堂をはじめ、一同は不安げな面持ちで、去る。お刀持ちの小姓も、追い払うように退げられる。後には、播磨守と郁之進。その播磨の陰に震え戦くお加世の三人だけになる。

郁之進 (問題の多門景光を、どさりと殿の前へ差し出して)この一刀は、なにとぞお手許に――。