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くうちゅうひょうりゅういっしゅうかん

空中漂流一週間

海野 十三

線上閱讀海野 十三《空中漂流一週間(くうちゅうひょうりゅういっしゅうかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,324 字 · 35 頁

青空文庫

「おお、あそこを飛んでいるんだから、もう見えてもよさそうなものだが……」

と、「火の玉」少尉は、上を指した。黒暗澹たる闇をぬって、三つの飛行機標識灯がうごいていく。それはだんだんこっちへ近づくように見えた。

「うまいぞ。たしかにこっちへやってくる」

「すこし変だよ。あれじゃ高度が高すぎて、気球の上を通りすぎてしまいそうだ」

キンチャコフが、なかなか理窟のあることをいった。

「通りすぎられて、たまるものかい。おい、今だ。信号灯をもっと振れ」

二人は、懸命に懐中電灯をうち振ったつもりであった。

だが、この飛行機は、ついにキンチャコフのいったとおり気球の上方、約五百メートル近いところを飛び過ぎ、やがてだんだん遠くなってしまった。

「畜生、とうとう行かれてしまった」

「どうも無理だよ。こんな小さな灯じゃ仕様がない。そのうえ、千切ったような雲が一ぱいひろがっていて、上からは案外見透しがきかないんだぜ」

キンチャコフは、得意らしく喋りたてた。「火の玉」少尉は、キンチャコフが、ソ連仕立のかなり優秀なスパイであることを見破った。そうなると、これからさらに一層、油断はならないわけだ。