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くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

線上閱讀海野 十三《空襲葬送曲(くうしゅうそうそうきょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 頁

青空文庫

お妻は、いい機嫌で室を出て行った。

「お父さん、今日はお芽出とう御座います」

「うん、ありがとう」

「きょうは、店を頼んで、三人一緒に、早く出てきました」

「おお、そうかい」

「久しぶりに、モルモットが皆集まって賑かに、御馳走になります」

「うん、――」

長造は何か別のことを考えている様子だった。黄一郎には、直ぐそれが判ったのだった。

「もっとも清二はいませんけれど……彼奴なにか便りを寄越しましたか」

清二は、黄一郎の直ぐの弟だった。その下が、ゴム工場へ勤めている弦三で今年が徴兵適齢。その下に、みどりと紅子という姉妹があって、末の素六は、やっと十五歳の中学三年生だった。

「清二のやつ、一週間ほど前に珍らしく横須賀軍港から、手紙なんぞよこしやがった」

「ほう、そりゃ感心だな。どうです、元気はいい様でしたか」

「別に心配はないようだ。今度、演習に出かけると云った。ばあさんには、なんだか、軍艦のついた帛紗をよこし、皆で喰えと云って、錨せんべいの、でかい缶を送って来たので驚いたよ。いずれ後で出してくるだろう」

「そりゃいよいよ感心ですね」

「うちのばあさんは、これは清二にしちゃ変だと云って泪ぐむし、みどりはみどりで、どうも気味がわるくて喰べられないというしサ、わしゃ、呶鳴りつけてやった。