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たけのさとびと

竹乃里人

伊藤 左千夫

線上閱讀伊藤 左千夫《竹乃里人(たけのさとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,338 字 · 29 頁

青空文庫

ことは到底出来ぬものとお極めになったというように承知致しましたが、そう心得てよいのでありますか。

予はかく長々しく自分の考の有丈ケを述べて先生に判断を乞うたのである、先生はその間一語も挿まれず、瞑目して聞かれた様子で、予が話をきるとすぐに大体そんな訳であるといわれた、なお話を進められて。

自分の親しく経歴したことを綴ったら、人によったらあるいは一生涯に一つ二つ、吾々の想うようなものが出来るかも知れぬけれど、そういうことは小説というよりかむしろその人の伝記というのが適当であろう、また自分が一年か二年前に実験した事実を種として作るというようなことがあっても、それは駄目であろう、どうしても想像や推測が出てきて新に考えたものと大差がなくなる。

かく話を添えられた、先生はよほど労れていらるる様子であるのに、こんな複雑な問題について長話をするのよくないことは知れきっているのであるから、予はここでこの問題についての話は止めてしまった、跡は母堂を相手に世間話を始めたような次第でその夜は常のごとく十時まで居って帰宅したのである。

以上の問題は考えれば考えるほど大問題であるという感がましてくる、とても吾々ごとき凡骨の頭で容易くよい