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だいよんのおっとから

第四の夫から

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《第四の夫から(だいよんのおっとから)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,580 字 · 6 頁

青空文庫

夫の僕とも四人あることは前にもちょっと書いて置いた。第一の夫は行商人、第二の夫は歩兵の伍長、第三の夫はラマ教の仏画師、第四の夫は僕である。僕もまたこの頃は無職業ではない。とにかく器用を看板とした一かどの理髪師になり了せている。

謹厳なる君は僕のように、一妻多夫に甘んずるものを軽蔑せずにはいられないであろう。が、僕にいわせれば、あらゆる結婚の形式はただ便宜に拠ったものである。一夫一妻の基督教徒は必ずしも異教徒たる僕等よりも道徳の高い人間ではない。のみならず事実上の一妻多夫は事実上の一夫多妻と共に、いかなる国にもあるはずである。実際また一夫一妻はチベットにも全然ない訣ではない。ただルクソオ・ミンズの名のもとに(ルクソオ・ミンズは破格の意味である。)軽蔑されているだけである。ちょうど僕等の一妻多夫も文明国の軽蔑を買っているように。

僕は三人の夫と共に、一人の妻を共有することに少しも不便を感じていない。他の三人もまた同様であろう。妻はこの四人の夫をいずれも過不足なしに愛している。僕はまだ日本にいた時、やはり三人の檀那と共に、一人の芸者を共有したことがあった。