輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はこねのやま

箱根の山

田中 英光

線上閱讀田中 英光《箱根の山(はこねのやま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,963 字 · 33 頁

青空文庫

私は二重廻しの袖を挙げ、身体を屈め、一郎の眼の前に拳を置き、指を伸ばし、その指先を眺めるようにと教えた。指の先には双子山の嶮峰が、半身に明るい日光を一杯に受け、夢で見るような黄色さだった。「この道を歩いて行くとあのお山の頂辺に出るのだよ。一郎に歩けるかしら」、「そうね、あのお山に登るの」、「うん、そうだとも。だけれど登れるかな」、「登れるヨ」、「きっとだね」、「ウン」

初めの中はそのくらいで山に関する対話も鳬がつき、親子はぶらぶら歩きだした。斑らな松並木の次には、いずれ名のあるに違いない宿場があり、家がごちゃごちゃ並んでいたが、そこを通り抜けるまでの間に、私は矢鱈な好奇心から、或いは曾我堂を訪れ、または初花躄勝五郎の由緒の寺の境内にも、霜どけの泥濘を、「そら下を見て、下を見て」とか一郎の手を抜けるように引っ張って、そんな風に得る処もなく方々に寄道したから、一郎は漸く歩くのに倦きて来たらしく、その宿場の端れ頃から頻りに、「お父さん、お山まだ」

「うん、だんだん。だけれど一郎、ほんとは俺たちがこうして歩いているのも山なのだよ。ほら御覧。路はだんだん高くなっているだろう。