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はんちゅうとしてのくうかんについて
範疇としての空間に就いて
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《範疇としての空間に就いて(はんちゅうとしてのくうかんについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,453 字 · 89 頁
視覚と触覚とをば視空間と触空間とを通じて結び付け又区別するのは、正に或る意味に於て凡ての感覚に共通である処のこの空間表象である。特殊な意味を付けてアリストテレスの言葉を借りるならば、空間表象は一つの「共通知覚*」であるとも云うことが出来るであろう。吾々が視空間触空間という時、又は更に聴空間とさえ云う時、その制約となってそれを統一的に理解せしめるものは共通知覚とも云うべき空間表象のこの範疇性にあるのである。
* 普通「共通感官」と訳されているが「共通知覚」と呼ぶ方が適切であると信じる理由がある。
空間表象という概念が空間に就いて云わば主観的な概念であるとすれば、之に対して云わば客観的なものは物理的空間である。従来経験の対象であるという意味に於て漫然と経験的空間と呼ばれているものにそれは起源を持つ。そして幾何学も又この経験的空間にその個体発生論的な原因を持っているであろう。併しこの経験的空間に関する認識の発展は、経験そのものがそうであるように、物理学的な研究――最も広い意味に於ての――によって起こされる。物理的研究が一般に空間の認識を助長するにどれ程欠くことの出来ないものであるかを人々はよく口にする(例えば Mach, Space and Geometry 参照)。