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かんざしをさしたへび
簪を挿した蛇
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《簪を挿した蛇(かんざしをさしたへび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,681 字 · 20 頁
という話であった。
「それはヘッケルの『宇宙の謎』の序文にある言葉で、科学者は木を見て森を見ない、哲学者は森の絵を見て満足しているというのの前半でしょう」と言ったら「たいへんなことを知ってるね」と褒められた。
自分はその後ずっと森を見ているというわけではない。しかしそういう言葉があることだけは、忘れないでいる。戦前、日本の科学は世界の第一線に伍したということがよく言われた。それは嘘であるが、世界の科学の進歩にほぼ踵を接して追従して行けるくらいのところまでは進歩していた。しかし後進国の悲しさには、どうしてもその研究態度が、木を見るというよりも、皮か葉の一部を見るような傾向に走りやすかったのは致方ないことであった。そして終戦後、日本の国が戦前のような条件で研究することが出来なくなった今日、なお皮の一部を調べる学者を養成するような科学教育策が、惰性的に採られているのではないかという気もする。
そういうことを言うと、折角子供たちの科学的なものの考え方を啓発しようと努力されている文部省の方たちや、科学精神の涵養に立派な普及書を出しておられる先生方に、礼を失するかの如く誤解されるかもしれない。