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そこつひょうばんき

粗忽評判記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《粗忽評判記(そこつひょうばんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,942 字 · 28 頁

青空文庫

ん。いや偽りは申しません、なるほど口では無念がましき言を申しましょう、けれどその言葉の裏には、十余年の御親友を失われた淋しさが歴々と窺われまする、お側に仕えまする久之進、そのありさまをみるたびに苦しく、切なく、かようなとき出雲守様はいかが思召すか、あれほどのお仲が不和になって、出雲守様はお淋しくは在さぬかと、失礼ながらお怨み申上げたことさえございまする」

信継の眼がいつか膝へ落ちていた。

「このたびの御出頭に、御不和を忘れて御祝儀の使者を差立てました壱岐守の心中、お掬み分けくださいませぬのはお情のう存じまする」

「……久之進」信継は静かに眼をあげた、「余が過った、いまの言葉は忘れてくれ、いかにも壱岐殿の御祝儀有難く受けるぞ」

「――はっ」久之進は平伏しながら、「早速お聴分けくださいまして、久之進面目に存じまする、なおまた、……明日は久々にて御対面を得たく、茶を催しまするゆえ枉げて御来駕くださいまするよう」

「なに壱岐が余を招くというか」

「くれぐれもお待ち申すとの口上にございます」

「そうか――」信継は感動して頷いた、「いかにも快く参ろう、帰ったら壱岐殿にお伝え申せ、出雲も土産を持って参るとな」