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ふんにょうたん

糞尿譚

火野 葦平

線上閱讀火野 葦平《糞尿譚(ふんにょうたん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,974 字 · 99 頁

青空文庫

あいつたちにも随分と苦労をかけたが、いよいよ自分の最後の勝利もそう遠いことではない、近き将来には必ず笑って手をとり合えることがあるのだ、と彦太郎はその待たれる日のことで胸がいっぱいになり、もう少しだ、ああ、もう少しだよ、と誰にいうともなく呟き、自転車を押して、汗に濡れながら、なおも山道を上って行った。今日は卯平に会い、市有開墾地の農作組合で必要な肥料のことを聞くためにやって来たのである。ようやく頂上の道まで出ると、上の方の畑で卯平はしきりに畝をおこしていた。下から声をかけると、上の方で手をあげ、鍬をかついで、斜面を駈け下って来た。暑いなあ、秋になってだいぶになるのに、今年は妙に涼しゅうならん、暑い、暑い、と卯平はしきりに暑がり、道端の小屋の蔭に入った。彦太郎も自転車をおいて入り、腰から鉈豆煙管を抜いた。それから卯平のいう農作組合の肥料の量を鉛筆をねぶりねぶり、帳面に控えた。話のはずみに今日運転手から聞いた話をすると、卯平は自分のことのようにぷんぷん腹を立て出し、皆田の老いぼれが何をぬかすか、市で承知して居るものを勝手にやめろとかなんとか気の利いたことをほざくな、俺に云うて来い、いつでも俺がやっつけてやる、と、矢橋村の方角を睨んだ。