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こうもうけいせい
紅毛傾城
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《紅毛傾城(こうもうけいせい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,403 字 · 50 頁
それは、肉体だけが覚めていて、心が深い眠りに陥っているかのように、二人はただ、機械的に歩き続けるのみである。
それでなくてさえも、雲は西から北からと湧いて空中に広がり、すでに嵐の徴候は歴然たるものだった。
しかし、夜になると、二人は抱き合って、裲襠の下で互いに暖め合うのであるが、そうした抱擁の中で、ややもすると性の掟を忘れようとする、異様の愛着が育てられていった。
やがて、氷の曠原を踏んで猟虎入江を過ぎ、コマンドル川の上流に達したとき、その河口に、ベーリングの終焉地があるのを知った。
ところが、ベーリングの埋葬地点に達したとき、それがあたかも、悲劇の前触れでもあるかのように、さっと頬をなでた、砂のように冷たいものがあった。
それは、今年最初の雪で、静かに、乳のごとく、霧のごとく空を滑りゆくのだった。
そうと知って、紅琴は愕然としたけれども、千古の神秘をあばこうとする、狂的な願望の前には、なんの事があろう。二人は、互いに励ましながら、氷を割り砂を掘り下げると、果たしてそこからは、凍結した、ベーリングの死体が現われた。
それは、両手を胸に組み、深い雛を眉根に寄せて、顔には何やら、悩ましげな表情を漂わせていた。