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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《細雪(ささめゆき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 頁
て招いたり招かれたりし合っていた。妙子は相変らず忙しそうで、家で暮す時間よりは外で暮す時間の方が多く、三日に一度は夕飯の食卓に顔を見せないことがあったが、彼女は多分、家にいると幸子や雪子に口説かれるのがうるさいので、それを避けている気味もあるのではないかと、貞之助は察した。それにしても、今度ばかりは妙子と二人の姉との間に感情の疎隔が生じはしまいか、殊に雪子との間がどうであろうかと、内々貞之助は案じていたが、或る日、夕方帰宅した彼は、幸子が見えなかったので、捜すつもりで浴室の前の六畳の部屋の襖を開けると、雪子が縁側に立て膝をして、妙子に足の爪を剪って貰っていた。
「幸子は」
と云うと、
「中姉ちゃん桑山さん迄行かはりました。もう直ぐ帰らはりますやろ」
と、妙子が云う暇に、雪子はそっと足の甲を裾の中に入れて居ずまいを直した。貞之助は、そこらに散らばっているキラキラ光る爪の屑を、妙子がスカートの膝をつきながら一つ一つ掌の中に拾い集めている有様をちらと見ただけで、又襖を締めたが、その一瞬間の、姉と妹の美しい情景が長く印象に残っていた。そして、この姉妹たちは、意見の相違は相違としてめったに仲違いなどはしないのだと云うことを、改めて教えられたような気がした。