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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《細雪(ささめゆき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 頁

青空文庫

「姉ちゃんお節句にやって来やはった。お雛さんと一緒やわ」

「縁起がよろしゅうございますわ」

と、お春が云った。

「今度はお嫁に行くやろか」

「悦ちゃん、姉ちゃんの前でそれ云わんときなさいや」

「ふん、ふん、分ってるよ、そんなこと」

「ええか、お春どんも気イ付けなんだら、この前みたいなことになるで」

「は、分っとります」

「どうせ知れることやさかい、蔭で云うのんは構めへんけど、………」

「は、………」

「こいちゃんに電話かけんでもええ?」

と、悦子が興奮した声で云った。

「かけて参りましょか」

「悦ちゃん、自分でかけなさい」

「ふん」

と云うと、悦子は電話口へ飛んで行って松濤アパートを呼び出した。

「………ふん、そうやねん、やっぱり今日やってん。………こいちゃん早う帰って来なさい。………『つばめ』やないねん、『かもめ』やねん。………大阪までお春が迎いに行くねん。………」

幸子は内裏雛の女雛の頭へ瓔珞の附いた金冠を着せながら、悦子の甲高い声がひびいて来るのを聞いていたが、

「悦ちゃん」

と、電話口の方へ怒鳴った。

「―――こいさんになあ、暇やったら姉ちゃん迎いに行ったげ、云いなさい」

「あのなあ、お母ちゃんがなあ、こいちゃん暇やったら迎いに行ったげなさいて。