輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

わなにかかったひと

罠に掛った人

甲賀 三郎

線上閱讀甲賀 三郎《罠に掛った人(わなにかかったひと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,112 字 · 21 頁

青空文庫

玉島を殺すにも及ばぬ。これを一転機として、運が開けて来るかも知れぬ。五百円落すような迂闊な人間は、これが無いからと云って、さして困りもしまい。

借りよう。友木はとうとうそう決めて終った。

彼は四辺が急に明るくなったように感じた。希望が、涸れかかった彼の胸から湧き出して来た。

彼はふと妻の事を思い出した。

真暗な家に帰りついて、彼のいないのを発見した彼女は、どうしているだろうか。それとも彼女は未だ町をうろつき廻っているのだろうか。

早く、早く、吉報を知らしてやらなくてはならない。

友木は胸をわくわくさせながら家の方に駆け出した。

三

家は真暗だった。

友木は手探りで室の中に這入って、声を掛けて見たが、妻は帰っていなかった。

彼は家を出て、近所の荒物やで蝋燭を二本買った。ビクビクしながら、懐中から拾った金のうちの十円紙幣を一枚抜き出して渡したが、店の者は別に怪しみもせず剰金を呉れた。それから彼は食糧品店に行った。彼は軟かい食パンとバタとハムの鑵を買った。それから果物屋で真赤に熟した林檎を買った。彼は喉をグビグビ云わせながら家へ帰った。

太い真白な西洋蝋燭は久し振りで快よい照明を与えた。