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ぶんがくずきのかていから

羅生門・鼻・芋粥

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《羅生門・鼻・芋粥(ぶんがくずきのかていから)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,240 字 · 69 頁

青空文庫

これじゃ頼もしくないと思って、雑木の涼しい影が落ちている下へ、くたびれた尻をすえたまま、ややしばらく見ていたが、やはりくだらないという心もちは取消しようがない。第一、そばに立っている日本風のお堂との対照ばかりでも、悲惨なこっけいの感じが先にたってしまう。その上荒れはてた周囲の風物が、四方からこの墓の威厳を害している。一山の蝉の声の中に埋れながら、自分は昔、春雨にぬれているこの墓を見て、感に堪えたということがなんだかうそのような心もちがした。と同時にまた、なんだか地下の樗牛に対してきのどくなような心もちがした。不二山と、大蘇鉄と、そうしてこの大理石の墓と――自分は十年ぶりで「わが袖の記」を読んだのとは、全く反対な索漠さを感じて、匆々竜華寺の門をあとにした。爾来今日に至っても、二度とあのきのどくな墓に詣でようという気は樗牛に対しても起す勇気がない。

しかし怪しげな、国家主義の連中が、彼らの崇拝する日蓮上人の信仰を天下に宣伝した関係から、樗牛の銅像なぞを建設しないのは、まだしも彼にとって幸福かもしれない。――自分は今では、時々こんなことさえ考えるようになった。