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ぶんがくずきのかていから

羅生門・鼻・芋粥

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《羅生門・鼻・芋粥(ぶんがくずきのかていから)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,240 字 · 69 頁

青空文庫

橋梁に次いで、自分の心をとらえたものは千鳥城の天主閣であった。天主閣はその名の示すがごとく、天主教の渡来とともに、はるばる南蛮から輸入された西洋築城術の産物であるが、自分たちの祖先の驚くべき同化力は、ほとんど何人もこれに対してエキゾティックな興味を感じえないまでに、その屋根と壁とをことごとく日本化し去ったのである。寺院の堂塔が王朝時代の建築を代表するように、封建時代を表象すべき建築物を求めるとしたら天主閣を除いて自分たちは何を見いだすことができるだろう。しかも明治維新とともに生まれた卑しむべき新文明の実利主義は全国にわたって、この大いなる中世の城楼を、なんの容赦もなく破壊した。自分は、不忍池を埋めて家屋を建築しようという論者をさえ生んだわらうべき時代思想を考えると、この破壊もただ微笑をもって許さなければならないと思っている。なぜといえば、天主閣は、明治の新政府に参与した薩長土肥の足軽輩に理解せらるべく、あまりに大いなる芸術の作品であるからである。今日に至るまで、これらの幼稚なる偶像破壊者の手を免がれて、記憶すべき日本の騎士時代を後世に伝えんとする天主閣の数は、わずかに十指を屈するのほかに出ない。