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ぎみんじんべえ

義民甚兵衛

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《義民甚兵衛(ぎみんじんべえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,241 字 · 25 頁

青空文庫

冬の日の黄昏近し。

おきん 畜生! また大根を二、三本盗みやがった! 作、今度見つけたら背骨の折れるほど、どやしつけてやれ! どこのどいつやろう。

甚作 新田の権が、昨日夕方裏の畑のところを、うろうろしていたけに、あいつかも知れんぞ。飢饉で増えたのは畑泥棒ばかりじゃ。

おきん 大根やって、今年は米の飯よりも大事じゃ。百本ばかりある大根が、冬中のおもな食物じゃけになあ。

甚三 お母、木津の藤兵衛の家じゃもう食物が尽きたけに、来年の籾種にまで、手を付けたというぞ。

おきん 藤兵衛が家でけ。ええ気味じゃ。藤兵衛の嬶め、俺がいつか小豆一升貸せいうて頼んだのに、貸せんというてはねつけやがったものな。

(おきん、台所へ入り水を汲んで大根を洗っている。隣家の老婆、およし入ってくる。ぼろぼろの着物を着て、瘠せはてている)

およし 甚作さんたち、何しているんでや。

甚作 これから、魚掬いに行くんじゃ。

およし お前の所じゃ、まだそななことができるから、ええな。わしの所じゃ、老人夫婦で泥鰌一匹捕ることやてできやせん。食べるものは、もう何にもなしになってしもうた。

甚三 およし婆さん。羨むなよ。