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ぎみんじんべえ

義民甚兵衛

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《義民甚兵衛(ぎみんじんべえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,241 字 · 25 頁

青空文庫

およし (口惜しがっし)女子のくせに、よう無慈悲なことがいえるな。ええわ、ええわ。今に思い知らせてやるけに。(退場する)

おきん この大根と粟とで、春まで命をつなぐんじゃ。一本だって、他人にやって堪るけ。

(大根を入れた鍋を、竈にかけ火を点ける)

甚三 じゃ、おっ母、行って来るぞ。

おきん ああ行って来い!

(二人の兄弟、「前掻き」と魚籠とを持って出て行く。入れ違いに村人勘五郎、慌しく入ってくる)

勘五郎 おきんさん。甚吉どんはおらんかのう。

おきん おらん。今朝、早うからな、落松葉をな、お城下へ売りに出たよ。

勘五郎 落松葉を、うむ、そななものでも金になるけ。

おきん 百にもならねえだ。それでもな、粟の二合や三合は買えるけにな。

勘五郎 甚三も甚作もおらんかのう。

おきん 二人ともおらん。何ぞ用け。

勘五郎 おっ母、恐ろしいことが起ったぞ。綾郡二十三カ村に、御年貢御免を嘆願の一揆が起ったぞ。

おきん なるほどのう。一揆でも起ろうぞ。ええ気味じゃ。

勘五郎 それでな、だんだんお城下の方へ押し寄せてくるいうのじゃ。

おきん なるほどのう。

勘五郎 それでな、もう端岡までは来とる、いう噂じゃけに、この村でも、加担するか加担せんか、今のうちに定めとこうていうてな、八幡さまで、村の若い衆の集りがあるのじゃ。